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まずは仮に作ってみた 素直クール過去ログindex
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coolVip1169987174509 素直クールのつくりかたより、千弓 名前 コメント
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リンクさせていただいたサイトさんの作品で、初心者の方におすすめする作品を選ばせていただきました。 ここに取り上げた作品以外にも面白い作品はありますが、初心者の方にも理解しやすい作品ということでご理解いただきたいと思います。 クーのいる世界 coobard◆69/69YEfXI氏 笑顔の春を 犬飼 レイの休日 母へ がぜあすふぉーむまとめ 南雲ませ◆MASE/zh4Ls氏 PD 電車素直クール 暖 Retroworld ◆ForcepOuXA氏 銀世界 feel 月下美人 - Delusion text site - 棗◆xea/FPnk0o氏 Joy to the World Butterfly 陽光を湛える月 月光に映える華 素クール オブ ですてにぃ pool◆t0BCEF0uzI氏 桜。
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52 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 30 52 ID JWBeSZiJ 燦燦(さんさん)と降り注ぐ太陽の日差し。飛沫になって輝く水と、方々から聞こえる歓声。 汗と海と、薄着の時節。あるいは────人によっては────UFOの、夏。 「流石に凄い人だね、兄さん」 塩の効いた液体が心地良く肌を濡らし、蒸発に従って冷まされる体温が気持ち良い。 突き刺さる陽光に眩しい砂浜、 辺りは人でごった返しているにも拘(かかわら)らず、隣に座る妹の声は不思議と涼やかに通った。 「夏だからね」 「夏だけど、だよ」 返答は少し皮肉気な笑み。クスクスと笑う声が潮風に乗る。 「夏と、海と、水着。男女が大胆になれる3種の神器────だったかな?」 海と人の波からは少し離れたビニールシートの上。パラソルの色彩が投げかける影を、妹の顔が遮る。 色彩は落ち着いた青の、だけどデザインは扇情的なビキニを貼り付けた胸が揺れた。 色白を自慢していた肌は日に焼けてしまい、影がそうする以上に色濃い。 太陽の下ならばさぞ艶のある小麦色として栄えるだろう。格好と相まって大勢の、特に異性の目を惹くに違いない。 「多いね・・・・・・カップル」 「夏、だからね」 仰ぎ見る妹の顔が、つ、と横を向いた。視線は彼方の波間。 乾き始めた黒髪が一房、凭(もた)れていた耳からはらはらと落ちる。 指先まで染みた気怠さの中で繰り返した言葉は、妹の唇から長い吐息を紡いだ。 「夏だけどだよ。兄さん。この暑さだっていうのに、熱いね・・・・・・どこも誰も」 青いシートがガサガサと音を立て、視界に現れた片手で妹が小さな額を撫でる。 「のぼせそう────────いいや、溺れそう・・・かな」 言いながら放した手は、僕の胸の上で指を広げた。 くすぐったさの後に落とされた唇が息吹き、熱のある呼気がゆっくりと肌の上を滑る。妹と一泳ぎしたばかりの僕は裸に近い。 反射的な緊張で硬直した肉体が、ゆっくりと押さえられた。 乾ききらない手を胸に、湿った頬を腹に乗せ、妹が抱きついてくる。 「ちょっと」 「大丈夫、どうせばれないよ。私と兄さんとの関係が何なのかも・・・・・・ナニをしているのかもね」 空いていた方の手が、海パンを通して僕の腰に触れた。 押し付けられる、水分を含んでザラついた布地の感触が徐々に下腹、 股間の付近を隠す唯一の布切れの中央へ這い進んでくる。 「~~♪」 鍵盤でも叩くような気軽さでトントンと男性に触れる指先。 疲労した肉体は理性より本能に近くて、集まる血流に熱をもったソコが膨らんでいく。 53 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 34 19 ID JWBeSZiJ 「一度こういうセリフを言ってみたかったんだ。 『体は正直』だね? 兄さん・・・・・・ん」 反論の弁もない。それでも、せめて抵抗の意思を吐くべき口も、妹の口付けによって塞がれてしまう。 海水に重くなった髪を僕の顔へ垂らし、自分の顔を傾けて唇を押し付けてくる妹。 押し付ける位置を上げた豊満な胸は重く、 鼻での呼吸をこなせる程度には慣れているはずなのに、わざと息を吹き込まれた。 匂いとも違う、どこか清涼な感覚に混じる磯の香。 鼻腔に届いた吐息は肺に送られる前に吸い戻され、替わって舌が伸びて来る。 唾液をたっぷりと乗せた柔肉は先端で僕の舌に挨拶をすると、侵入した口腔に纏った体液を塗りつけ始めた。 くねり、うねり、濡れそぼった全身で僕の口内を洗う。ザラザラとした感触に背が震えた。 血の下がる頭に、背にする砂の熱感が遠くなる。海パンごと擦られる部分が固く跳ねた。 高まっていく感覚の終点が彼方、水平線の辺りに見え始める。 「少しはそれらしい気分が出たかな?」 案の定、妹はそこで手を離した。 抜かれた舌から垂れる糸を拭い、手の甲に乗せてから改めて口付け、吸い上げる。 「体力を使い果たすには早いからね。まだ遊ぼう、兄さん。まだまだ楽しもう、2人っきりで」 深く息を吐く僕の上で、妹の表情がにこやかに踊った。 「一夏の思い出は、それからが最高だよ」 立ち上がって離れた背が、膝を曲げて手を伸ばしてくる。 覗き込んでくる瞳には微かな疑いもない。僕にその催促を断る術はなかった。 「分かった」 促されるままに背を浮かせる。しかし、手は借りなかった。 自分でもそうした理由ははっきりしない。妹の目には抵抗が映ったのだろうか。 答えてくれる唇は、立った時には一歩先で僕を誘っていた。 54 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 36 24 ID JWBeSZiJ 足のつく波間で戯れ、目標まで競い泳ぎ、水の掛け合いや駆けっこをし、ビーチバレーをし、 そうして勝敗を笑い合い、カキ氷とヤキソバを手にパラソルの影を求めて戻り、お腹を満たして。 青春というものがあるのなら充分に、いや、十二分に満喫したと思う。 振り返らなくても、欠片の後悔もないと言い切れる時間だった。 ただ。 青春とは、書いて字の如く青い春。 蕾が開く前、果実が熟すまで、まだ若い頃だけに許される刹那の時間だ。 だから、僕らに許された青春はここまで。子供の時間は終わり。 一つ大人になる僕らは、どちらかが不本意であれ花を咲かせる僕らは、だから散らさなければならない。 それまで守ってきたものを。開いた花弁の一枚を。 「もういいかな」 海水で口を濯(ゆす)いだ妹は、それだけ言って僕の手を引いた。 『ファーストキスがソース臭のするイチゴシロップ味というのは、幾ら何でもいただけないからね』 そう言った妹の顔には、まだ青い照れ臭さがあった。この時だけは、歳相応の反応だったかもしれない。 「こっちだよ、兄さん。大丈夫────下調べはしてあるから」 今日の企画・立案は妹に任せてある。そうするしかなかったから。 今日僕がここに来て、ここにい続ける理由は全て妹のため。妹の手によるものなのだから。 「足元。気をつけて」 人気(ひとけ)と海辺から離れて海沿いの岩場を目指す。 内陸では先ず見ないごつごつした形の足場を踏んで更に先へ。 妹の足が止まったのは、それから悪戦苦闘しつつの数分を歩いてからだった。 「ここだよ。さあ、気を付けて降りて」 上から見下ろしているとよく分かる、周囲の岩場の中で一箇所だけ空間の開いた場所。 潮の関係か波の浸食が深く、刳り貫いたように適度なスペースがある。 加えて満潮が近付かないと海水も届かないようで、一見して砂は乾いていた。 「ネットって奴は便利だね、一般の有益性を別にすれば大抵の情報は手に入る。 幸い他のカップ────利用者もいないようだ。どうかな兄さん。 お誂(あつら)え向きだろう?」 「そうだね」 ゆっくりと降りて、確りと足場を確認してから視線を上げる。 見れば、一足先に着地した妹が屈んで水着を埋めていた。 「万が一、脱いで波や風に流されでもしたら困るからね」 折られていた膝が戻る。 日焼けを免れていた部分が晒され、小麦色と白色のコントラストが陽射しに映えた。 歳の割に大きな胸も毛の生え揃ったソコも隠すことなく、何も恥じ入ることなどないように妹は立っている。 55 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 38 23 ID JWBeSZiJ 「ごめんね、兄さん。せっかちで」 言いながら両腕を広げ、潮風を全身に浴びて歩んで来た。 抱き締められ、何よりも強く、妹の肌から女の香が匂い立つ。 「でも、もう我慢出来そうにないんだ。だからお願いだ。 遠慮なんかしなくていい、一息に奪ってくれ。準備なら済んでる。 今日、兄さんを一目見た時から・・・・・・・・・いいや、今日のことを思った昨日の夜から濡れているんだ」 触れている体温より熱い、震えた吐息が耳を撫でる。 「さあ兄さん、私はいつでもいい。どんな風だっていい。好きなように私を使ってくれ。 叶うならいつまでも、兄さんが私の体に飽き果てるまで存分にだ。 私はそれでいい。それがいいんだ」 こんな時にだけ潮風は止み、海鳥の姿はどこにもなく、波は緩やかで静まっていた。 「兄さん。私を抱いてくれ」 返事はしなかった。僕は溺れるように、妹の体へ沈んで行った。 海水に沈めた下半身を引き上げる。こういう時に男性は楽だ。 外側を流すだけで情事の残滓を消し、表面を取り繕うことが出来る。 ついでに相手のアフターケアの余裕があれば十全だ。 まだ立てない妹の足に、砂を洗い落としたばかりの水着をかけてやる。 僕の背に爪痕をつけた手は、曲げた腕と共に太陽から顔を隠していた。 潮の音(ね)に嗚咽が混ざる。聞いて呼び起こされる感情は悲痛でも罪悪感でもなかった。 「立てるようになったら海で体を洗ってくれ。そのまま水着を着ると・・・・・・多分、分かるから」 緩く開かれた妹の股間からは、白濁した液体が溢れ出していた。 それが何なのかは言うまでもないことだ。決まっている。僕が最もよく知っている。 繰り返した放出の最後、妹に両足で挟まれた腰を引けずにそのまま出したのだ。 妹の、中に。 大丈夫ではあるだろう。問題はないと言えるのかもしれない。 でもそれこそ、そういう問題ではないのだ。 「うん。うん、ごめんね兄さん。すまない。手間をかけさせて、最後に我儘もしてしまって。 すまない、兄さん。ごめんなさい。本当にごめんなさい」 妹は泣いている。嬉しさで泣いている。 その雫が悲しみか痛みのせいならば、誰かが悪いのだとして、罪が僕にあるのならば良かった。 その方がずっと分かり易い。 57 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 39 35 ID JWBeSZiJ 「でもね、兄さん」 その方が、ずっと救いがあった。 「兄さんには悪いけど私は幸せだよ。一番、世界で一番、幸せだよ。 今まで家族として愛してくれていたのは知ってる。 でも今、無理矢理であっても妹じゃなくて女として抱いてくれた。女としての私に兄さんを抱かせてくれた。 兄さん。ありがとう。ありがとう兄さん。ありがとう。ありがとう」 恋が叶った人間を悲しませる方法が、世界のどこにあるのだろうか。 暫く、妹の瞳からは塩の味がする雫が溢れた。 「次は、いつ来れるのかな・・・・・・?」 「冬か春・・・・・・遅ければ一年後、かな」 「そう。でもさよならは言わないよ、兄さん。愛してる────────たとえ、これが最後でも」 最後。迫った妹の唇を受け入れさせたのは、その言葉だったのかもしれない。 どちらにせよ、僕らの関係はこの一度きり。それが約束だった。 許されざる関係であるのではなく、許されない関係であるかもしれない僕らの、 僕がぎりぎりで妥協できた結論がそれ。 具体的な始まりがいつだったのかは、最早知りようもない。 それでも全体の切欠を求めるなら、原因は父の再婚だった。相手は、俗な言い方をすればバツイチの子連れ。 兄妹のいない僕からすればバランスは取れていたと言える。 両者の抱えている一人っ子は年齢が近く性別が異なり、伴侶を亡くした原因が同じく事故死で。 その運命的な出会いを、僕と妹にまで必然と当てはめる気はないけれど。 『お義兄(にい)さん』と僕を呼んだ妹から、兄以前の文字が消えた時には既に手遅れだったのか。 僕が『義妹』を一文字で認識する頃には、戻れない所まで来ていたのか。 僕が大学へ進学した時期には、もう間違いのだけど。 妹に異性として好かれた。弱みを握られた。帰省を口実に呼び出され、たった一度の関係を強制された。 本なら一行にも満たない過程には、果てしなく思えた紆余曲折があったけれど。 それももう終わりだ。妹は約束を守るだろう。妹は僕に嘘を付かない。そこには不思議と信頼がある。 同時に、それだけが僕の支えでもあった。 58 素直クールが着る水着 sage 2009/01/17(土) 01 40 23 ID JWBeSZiJ 2人、熱気を上げる堤防の側を歩く。 仮に大人の足でも夏には怠さを覚えるだろう海の外周、果てなど見えなかった道。 けれど、果てがないわけじゃない。この道にも果てがある。 これまでの僕と妹の関係にも、今日の僕らの関係にも。 無意識にそれをこの道に見立てたのかもしれない。 これで終わり。 これが終点。 ここでお別れ。 歩きながら、そんな思いがあった。 僕らが2人で過ごす夏はここまで。今日の約束もここまで。 妹が約束を守るならば僕は解放され、今までと似た、ただ妹に対する何かが変わった人生が続く。 揺らいでも真っ直ぐに。陽炎が浮かぶ、夏の焼けた線路のように。 その終着駅に妹の姿はない。当然の帰結。有り触れた必然の終幕だ。 当事者の一人である僕が閉幕を願っている以上、物語の公演は続かない。 夏には終わりがあるのだから。ただ、男女としての僕らが同じものを迎えるだけ。 何もおかしなことはない。 そう思った矢先。堤防の終端、海と陸の境界線が見えた。 妹がペースを上げる。その背中を汗をかかない程度に追い、やがて追いついた。 走ればあっと言う間の距離だったから。そんな間を詰めて、妹はほんの少し、まだ先にいる。 でもそこは、堤防とその先との境目を向こう側へ越していて。 水着から着替えた服で立っていた妹が、数歩先で振り返った。 「結局、聞かなかったね? お義兄さん────────今日、私が『大丈夫な日』なのかどうか」 懐かしい呼び名が紡がれる。 緩く舞い上がったワンピースの裾が、言い終わる頃に漸(ようや)く降りた。 波の音は遠く、声を掻き消すには小さい。夏の熱気が、じりじりと意識を濁らせる。 「私は兄さんに嘘を吐けない。兄さんにだけは嘘を吐けない。 出来るのは、言わないことだけ。聞かれない限り沈黙を続けることだけ。 だから、日取りを決めた段階から、 私が────────血の繋がらない義妹が、どれだけお義兄さんに信頼されているかの賭けだったけど。 私が、血の繋がった妹以上に家族と思われているのかが鍵だったけど。 義兄を好きになって、脅して、関係を強要するような浅ましく狂った義妹が、 避妊や安全日という常識を持っていると考えてくれるかどうかが最後の分かれ目だったけど」 そこで閉じた唇が、賭けの結果を口にすることはなかった。 「いつか行くよ、兄さんに会いに。そしてまた来るよ、兄さんと此処に。その時は・・・・・・たとえ兄妹でなくても家族だ」 愛おしそうに、両手が服で見えなくなった腹部を撫でる。 「産まれる前には会いたい、かな・・・? こっちの海なら水温的にはぎりぎりで間に合うかもしれない。 次の夏は違う水着を用意しないといけないね。 2人の子供に障らないように・・・・・・・・・それとも産後のシェイプアップかな? ふふ」 踏み出す前に、今はまだ邪魔にならない腹を抱えた妹は反転していた。 妹と、異性と。更にもう一つの女の混ざり合った目が、一瞬だけ僕を見詰める。 「じゃあね────────『あなた』。また今度」 そう言って。 波間の輝きより光に満ちた笑顔を浮かべた義妹は、僕の前から去って行った。 磯の香より濃く、沖の水底よりも深い、仄(ほの)暗い予感を残してから。
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64 :ヤンデレ素直クール:2010/02/16(火) 21 57 37 ID SwZnrzYb 第一話 3レス消費 「何度でも言うぞ。私は君がす・・・」 女は困ったような顔をして、すでに二度繰り返した言葉を再び口にした。 女の目の前に立つ男の顔はすでに茹で上がったように真っ赤になっている。 窓が開いて薄ら寒い教室の片隅には、すでに人垣が出来上がっていた。 当たり前だ。学校中で有名な美人の女が、突如告白をしたのだから。 1分前から唐突に始まった事件に、教室中はもう興味深々だ。 顔を真っ赤にした男は焦ったように大きな手振りで女を遮った。 「ストォーップッ!!ストップストップ!分かったから!ちょっとまって!」 女は男の大げさな反応に戸惑って彼の目をじっと覗き込んでいる。 男は、はぁーっ、と大きなため息をついて脱力してみせた。冬の風が沁みる。 思わず、「なんの罰ゲームだよ・・・」と口中で呟いてしまった。 男が顔を上げるとそこには、困惑し、どこか悲しそうな女の顔。 「・・・、あの、さ。」 おずおずと男が語りかけると、なぜか女は俯いて呟いた。 「め、迷惑だった、か・・・?」 右手で拳を作り、左手でスカートの端を握り締める女の表情が男には見えない。 ぽつりと呟く言葉だけが、教室で一番寒い空間に残された。 沈黙。 男には相手の言葉の意味がつかめない。だから聞き返した。 「め、めいわくっていうか、さ・・・。」 そう男が答えると、なぜか今度はポタッ、ポタッと音が。 床に眼を落とすと、なるほど雫がポタポタと落ちてきている。 男は、声にならない叫びを上げた。 『泣いてるよぉぉお・・・。』 女がぐずぐずいいだすと同時に、さぁっと教室の空気は凍っていく。 さっきまでの生暖かい視線は刺すようなトゲトゲしいものへと早変わりしていた。 男は咄嗟にここにいてはいけないと思った。 男に弁解の余地は無い。しかし女を通せば後で評判を回復できるかもしれない。 そう考えた男は、「ここじゃちょっと、ね」と女の手を引いて教室を出る。 何とか、女との関係を修復して、クラスの皆に言ってもらわねば。 立て付けの悪い引き戸をガタンと開けて廊下に出た。 昼休みが終わるまでまだ時間はあるだろう。 空き教室を探す男の背に、泣かせんなよ!と声がかかる。 男の右手に絡みつく指は、血が滲むかとおもうほど爪を立てていた。 ※※※※ 65 :ヤンデレ素直クール:2010/02/16(火) 22 00 52 ID SwZnrzYb 逃げ込んだ空き教室は昼でも薄暗く、先刻よりも寒い場所だった。 女はまだ俯いて泣き続けている。 「・・・あの・・・。」 男が声をかけると、女はピクリと肩を震わせた。 「顔、見せてよ。その、話ができないし・・。」 そう言われてあげた女の顔はやっぱり美人だった。 大きな眼に、すっと通った鼻筋。抜けるような白い肌。 きゅっと結ばれた口が解かれて、おずおずと開いた。 「どうして・・・」 先ほどの告白とは打って変わった、呟きのような言葉。 「どうして、止めたんだ?・・・わた、私は、ただ、気持ちを伝えたかったのに。」 強いまなざしと真摯な表情に圧倒され、男に口を挟む余地は無い。 「好き、だ。好きなんだ、君が。」 再び告げると、女は男に詰め寄った。肩に手をかけて目線をそらさせない。 男は痛みを感じるほど強く掴まれ、後ずさりしかかる。 放せとか、やめろとか出てきてもおかしくないはずの言葉が出ない。 深くて暗い女の瞳を見つめることしかできなかった。 「なあ、素直に言っただろう?素直に、私の気持ちを。だから・・・」 「だから・・・答え、くれないか?・・・」 肩を掴んでいた手は男の背に回り、女の顔が息のかかる距離に迫っている。 涙を溜めた眼ですがる女に、男の判断は吹き飛んでいた。 それもそうだ。 モデルなみに整った顔立ちから学校中で人気がある。 これと言って格好良くもない自分を真剣に思ってくれている。 その女にほとんど抱き合うような体勢で、迫られているのだ。 どう考えても男の人生で今後起きないような最高のシチュエーションだった。 どこか違和感を感じないわけではなかったが、男は無視した。 気のせいに決まってる、と。 「なんだか、いきなりでさ。ちょっとびっくりしたけど・・・。」 カチリと音がしそうなくらい、女は完全に視線を合わそうとしてくる。 「うん・・・。」 一息ついて、男は答えを返した。 「お、俺でよければ、その、」 最後まで言う前に男の口は塞がれた。 まるで喰らいつくような、女からのキスだった。 ※※※※ 66 :ヤンデレ素直クール:2010/02/16(火) 22 03 45 ID SwZnrzYb 長いキスを終えた後、恋人として女は男にあることを誓わせた。 “嘘と隠し事をしないこと” “素直かつ率直であること” “堂々として照れないこと” 後者二つは難しい、と文句を付けると女は微笑んで言った。 「私が訓練する。なに、難しいことはない。反面教師など沢山いるからな。」 そして急に真顔になると、ただし、と付け加えた。 「何があろうと嘘と隠し事は許さん。絶対にだ。」 その瞬間、底冷えのするような瞳が男の深いところを探っていた。 どんな些細なことも逃さぬようにぎりぎりと抉ってくる。 昼休みが終わるまで、二人はそうして互いの肚を探りあい、抱き合っていた。 暗い空き教室は、冬の曇天で真昼にもかかわらず薄暗い。 剣のように凛とした女の言葉と気持ちは、場の雰囲気に似つかわしくない。 ああ、これが違和感の正体か、と男は一人納得していた。 はじめは不審にも思ったが、いまは心地よく感じられる。 男は思わず苦笑した。自分の心はどうにも都合よくできているらしい。 女は、男の耳元に囁いた。 「君を愛している。ずっと、ずっとだ。だから、君も私みたいに、な。」 男の背中には女の爪痕が、服の上から見えるほどくっきりと残っていた。 男の名前は石堂明。女の名前は須崎律。二人の名前だ。 ※※※※
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ク「やあ、聞いてくれ」 男「んあ? どうした」 ク「昨晩、君の事を考えて自慰をしていたんだ」 男「へぇ・・・・はぁ?!」 ク「いや、とてつもない快感だった。君の性器が私の性器から出たり入ったりする所を想像して・・・」 男「なっ?!、 お、お前なにいt」 ク「ついついやりすぎてしまって、指がネトついてしまった。おまけにあまりのことで声まで漏れてしまい・・」 男「だからなにいt」 ク「今思い出すだけでも身悶えしてしまう。ああ、もう下着が少し湿ってきたようだ」 男「・・・・・・・・・・・」 ク「ついては、今晩はもう少し具体性を含んだ妄想にしたいと思う。そこで頼みだが・・・どうしたんだ?」 男「い、いや・・・・・・」 ク「そうか、勃起してしまっているのか。丁度いい、ズボンとパンツをおろしてくれ。今晩のおかずにする」 男「あ、ちょ、こら!!」 (省略されました。はいはいワッフルワッフル) ~男の部屋にて~ 男「…(ジー」 ク「…なんだろうか。私の顔に、何かついてるのかな?」 男「あ、いや、その。…怒らないで、聞いてくれるか?」 ク「ふむ。努力はしよう」 男「…クーって、胸、大きいよな、って思って…」 ク「ああ、そんなことか。…興味があるのかい?」 男「…(コクン」 ク「そうか…では、触ってみるかい?」 男「えっ!?」 ク「ほら…(プニュ」(男の手を取り、自分の胸に押し付ける) 男「!く、クー…?」 ク「んっ…どう、かな?」 男「すごく…柔らかい」 ク「ありがとう。…なら、次は直接見てほしいな(プチッ」(ボタンを外し、ブラに包まれた胸を露出させる) 男「う、わ…(ビクンッ」 ク「ふふっ。光栄だな。私を見て、欲情してくれているのかな?(ニギニギ」(男のチンコをズボンの上から弄る) 男「はう…ク-…!」 ク「待っていてくれ…すぐに気持ちよくしてあげるから(ヂーッ」(男のズボンのチャックを下ろしてチンコを露出させる) 男「!?クー、やめt」 ク「ふぅ…すごいな。生命の神秘だね。いくよ、ン…(パクッ」(チンコを口に含む) 男「うぅっ!!」 ク「ほう…ふぁい?」 男「ん…クー、いいよっ」 ク「チュプ…ぷは。ふぅ…ふふ、喜んでもらえて嬉しいよ」 男「あ…クー」 ク「…そうだね。では次は、こういうのはどうかな?(ムニュッ」(ブラをずらし、胸でチンコを挟み込む) 男「あう!クー、それ、よすぎ…!」 ク「そうかい?…切なそうな声を出すね。可愛いよ…」 男「クー、その…もっと、強く、して」 ク「ん?…ふふっ、それでは、わからないな。誰の、何を、何で、どうしてほしいのか、 ちゃんといってくれないか?(ニュルニュル」(焦らすように胸をチンコに擦り付ける) 男「そんな…うう」 ク「…ほら…早くしないと、私も気が変わってしまうかもしれないよ」 男「うくっ!…ク、クーのっ…クーのエロおっぱいでっ!!俺の勃起したチンコを、 滅茶苦茶にシゴいて、射精させてくださいっ!!!」 ク「!!…はぁ…すご、いな。君に、そんな卑猥な言葉で懇願されると…私の方まで変になってしまいそうだ」 男「クー…頼む、早く」 ク「ふふっ、いいよ。約束だからね。では、いくよ…んっ(ムギュッ、ズリズリ」(チンコを挟んだ胸を左右交互に上下させ始める) 男「はぁ!はぁ…クー!これじゃ、すぐにっ!ううっ」 ク「は、は…男、我慢、しないで、好きなときに、射精して、いいぞっ」 男「ク…クーっ、もうっ!!(ググッ」 ク「んっ…!」 男「う、あああっ!!(ドクドクッ」(亀頭が谷間に完全に埋没した瞬間に果てる) ク「!あ…はぁ。…男、君のが、私の胸の中で、欲望を吐き出しているよ」(谷間の中で射精を続けるチンコを胸でシゴき続ける) 男「うく…はぁ…はぁ(ズルリ」(射精を終え、谷間からチンコが抜け落ちる) ク「…ふふっ…見える、かい?私の胸が、君の出した精液でベトベトだよ」(密着した胸の間から、ドロリと白濁液が溢れて来る) 男「ハァ…ハァ…ハァ…」 ク「ん?男、もう限界かな?…ふむ、仕方ない。私は、君の精液で自慰に耽るとしようか………んん!」 続かない。
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98 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02 33 24 ID 0ylXbI2v 第二話 3レス消費 律の告白から一週間後の帰り道。 すでに薄暗くなりつつある通学路を律と明の二人は歩いていた。 その道すがら、明は気になっていたことを聞いてみた。 「・・・でもさ、須崎さんはなんで俺のことが好きになったの?」 何気ない一言だったが、律は明の目をじっと見つめた。 明は律の探るような目つきが苦手だ。しかし、同時に吸い寄せられてしまう。 いつも通る街角だが、律に見つめられているだけで全く違う場所に思えてきた。 「・・・??須崎さん?俺、なんかまずいこと聞いた?」 思わず尋ねると、律は目をそらすことなく微笑んで答えた。 「いいや。それよりも、君が私に率直に聞いてくれたことが嬉しいんだ。」 「後の一言は余計だったが、及第点だ。ありがとう。」 こう言って律は一息ついた。手を握る律の力が強くなる。 「君の問いに答えたいが、長くなるぞ。それで良いなら、寄り道しよう。」 明は神妙にうなづいた。 「いいよ。俺も、なんていうか、須崎さんのこともっと知りたい、し。」 薄暗いなか、律の目だけはなぜか爛々と輝いているように見えた。 「ふふ、君も私のことを知りたいと思ってくれるんだな?嬉しいよ。」 でもそれなら、と微笑んで律は付け加えた。 「お互い、名前で呼び合おう。明。率直かつ素直に、な。」 ※※※※ 99 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02 36 23 ID 0ylXbI2v 10分ほど、住宅街を抜けていくと、律のお気に入りだという喫茶店についた。 ジャズソングが静かに流れる、高校生には似合わない店。 しかし、大人びた雰囲気の律にはちょうど良いのかもしれない。 たっぷりと生クリームを使った濃厚なココアが運ばれると、律は話しだした。 それこそ自分の趣味や好きなものから家庭環境、生い立ちに至るまで包み隠さず。 しかも、それがプライベートな部分になればなるほど、言葉に熱がこもっていく。 「私の両親は互いに喧嘩していてね。ずっとだったよ。」 「それから二人は私を憎むようになった。お互いの子だと思うと我慢ならないそうだ。」 堰を切ったように喋り続ける律を前に、明は圧倒されていた。 「彼らは互いにずっと嘘をつきあっていてね。きっとそれが喧嘩の原因なんだろう。」 「しかも私を前にすると二人とも途端に優しい顔ばかりさ。下らない・・・。」 よくよく考えて見れば、今や恋人とはいえお互いほとんど接点などなかった。 今日まで交わした言葉など挨拶とか、その程度だろう。それなのに。 「私が家を出されて、祖父の家に引き取られるその時まで、二人とも優しい顔だった。」 「でも私は知ってたんだ。あいつらは私を追い出す算段を整えていたんだ。こそこそと。」 それなのになぜ、律はこんなにも赤裸々に話せるのか、明には分からない。 なんとなく感じる、あの違和感。 「普段怒鳴りあう夫婦が夜中には突如静かになるんだからな。盗み聞きしたんだ。」 「それで、最後に言ってやったんだ。」 「厄介払い出来て良かったな、って。全部、聞いてたぞ、・・・って。」 一息に語りつくした律の瞳にはうっすらと涙が溜まっていた。 最後は声が詰まっていたので、泣いていたのかもしれない。 何と言ってよいのかも分からず、明はただ律の手を握っていた。 ありがとう、と頬を染めた律は 「私が素直や、嘘にこだわるのは、きっとそのせいなんだ。」 と締めくくったのだった。 ※※※※ 100 :ヤンデレ素直クール:2010/02/19(金) 02 40 03 ID 0ylXbI2v 自分の半生を語りつくした律の瞳は涙を湛えながら輝いていた。 どう考えても、恋人とはいえよく知りもしない男に話すことではない。 どうしてそんなに開けっ広げなのか。 どうしても疑問に思えた明は控えめに口を開いた。 「あの・・・律、さんてさ。いつも、こんな感じなの?」 非難するつもりはなかった。ただ知りたかっただけである。 しかし、明の言葉に律は怪訝な顔をする。 「こんな、とはどういう意味だ?私は、なにか変だったか?」 予想外に不満げな律の反応に、明は驚く。 一転、不穏な雰囲気に思わずしどろもどろな言葉しか返せない。 「あ、いや。何ていうか、その悪い意味じゃなくて・・・」 煮え切らない明の目をガチリと喰らいつくように律が捉える。 その目はまるで蛇や獣のような、獰猛な輝きを放っていた。 「なんだ?遠慮なく言ってくれ。」 「あの、律さんが素直というかストレートというか・・・」 「えと、・・・言い方が、悪かったよね。ゴメン・・・」 ギラギラとした光を増していく律の目が怖くて、謝罪してしまう。 律が静かに切り込んでくる。 「私が素直なのが、何かいけないのか・・・?ゴメン、とは何だ?」 そこには静かに怒りだした律がいた。 時々見せる可愛らしさとは間逆の、般若の顔。 何かいわなければいけない。だが分かっていても頭が働かない。 「いや、その・・・。」 きゅうう、と律は目を細める。また、明の中を探ろうとしていた。 「君に対してありのままでいることが私の全てだ。分からないのか?」 「なぜいけないのか教えてくれ。私が明に素直になって何が悪い?」 詰まった明の首にそっと律の手が添えられる。 「もういい。後で聞く。」 添えられた両手はそっと首を絞めつけはじめた。 じわじわと絞め上げながら、律は明に顔を近づけてゆく。 なぜか身体が石のように重く、明は声を上げることさえできない。 肺は悲鳴を上げているのに、何も出来ないままだ。 律は微笑みながら、耳元で囁いた。 「教えてくれ。私の何がいけないんだ?必ず直すから・・・」 明はそれを最後に意識を失った。 ※※※※
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234 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 27 55 ID 29tgcKcv 第四話 3レス消費 翌朝、明が目を覚ますと、目の前には律の顔があった。 いつも学校で見ている、彼以外にはほとんど感情を示さない鉄面皮とは正反対の寝顔。 ありえないほど緩んだ表情と静かな寝息で、幼くさえ見えてしまう。 明は、幸せそうな寝顔に思わず顔をほころばせながら起こさないように身体を起こした。 携帯電話のチェックをしたかったのである。 案の定、メールが何件か来ている。が、なぜか個別のフォルダに入っていない。 メールを開いて見たがおかしい。友人のものまで未設定フォルダに入っている。 しかも、名前でなくアドレスが表示されている。 アドレス帳から削除した覚えは無いにも関らずだ。 慌てて明はアドレス張を確認する。 『おかしい・・・。無くなってる。』 確かに、あったはずのアドレスが一部なくなっていた。 先ほど入っていた友人の登録も無い。 『誰のがなくなったんだ・・・?ていうかなんで?』 頭がうまく働かない。昨日からずっとこの調子である。 それでも思いつく限りの知り合いの名前を片端から調べていく。 妙なことに、女性の登録だけが抜けているようだった。 学校にいた時まで異常なかったのだ。 とするとアドレスが消去されたのは下校以降。 『もしかして、律、なのか・・・?』 それ以外考えられない。 律を呼ぼうと明が振り向こうとした時、後ろから抱きつかれた。 「アドレス帳、見たんだな。」 律だ。どこか浮き浮きとした声に調子が狂う。それでも怒気をこめて返事した。 「ああ・・・。ていうか、これ・・・。」 それなのに律にはまるで届かない。 「ふふ、どうしたんだ?怖い声を出して。」 流された明は耐えられずに声を荒げた。 「どうしたもこうしたも、まず他人のアドレス帳をみるとかありえないだろ?」 「しかも、女のだけ削除するなんて、何の意味があって・・・」 235 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 31 54 ID 29tgcKcv そういった瞬間、明の首に腕が巻きついた。 「なぜだ。」 律の冷厳な声。 「まず一つ目。なぜ他人なんだ?明と私は恋人だろう?」 「二つ目。なぜ恋人の携帯電話の中を見てはいけない?隠し事は駄目だろう?」 「それから三つ目。他の女のアドレスが何でいるんだ?いらないだろう?」 「4つ目、なぜ君が怒る?私は君との間に何も作りたくないだけなのに。」 「正直に答えてくれ。明を愛しているからしたことだ。怒られた理由を知りたい。」 声は冷厳なままに、重ねる詰問はだんだんと嗚咽交じりになっていく。 「なぜだ。教えてくれ。お願いだ。私が嫌いじゃないなら・・・。」 「ちょ、ちょっと落ち着けよ。律のこときら・・・」 明は興奮する律のとどめる。しかし逆効果だった。 「落ち着け?私は、落ち着いているっ!!」 「いや、でも・・・。」 凄まじい剣幕だった。律は明をがっちりと掴まえる。 逃れようともがくが、そのまま押し倒された。 ぎりぎりと音がしそうなくらい、手には力が入っている。 律に掴まれた肩からは、爪が食い込んで出血していた。 「私が周りから面倒な人間だと思われているのは知っていた。」 「それでも明なら、私の、この性格を理解してくれてると思っていた。」 「だが違った。明も同じだったんだな?私を面倒に思うんだろう?」 般若のような面で明に言葉をぶつけてきた。 明の顔には、律の涙と、噛み締める唇の血がポタポタと落ちてくる。 「それは・・・。」 否定できなかった。 「さっきもそう。君は私がどんな思いで両親のことを告白したか、分かるか?」 『・・・そうだ。喫茶店でもこんなやり取りが・・・。』 ぼんやりと思い出せるが、明の頭はクラクラしたままで働かない。 「なぜ受け止めてくれないんだ?恋人なのに。愛しているのに。セックスまでしたのに。」 「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」 何無表情だった律の顔が苦しみに歪む。 236 :ヤンデレ素直クール:2010/03/03(水) 01 34 39 ID 29tgcKcv 次の瞬間、明を抑える力が緩んだ。 明は、彼女をはねのけて玄関へと脱兎の如く走りこむ。 背後からは「どうして!」と悲痛な叫び声があがるが無視。 ほとんど体当たりするようにドアを開けた。 転がり込むようにして外に出る。 久しぶりにも思えるほど、朝の光はまぶしかった。 空気が信じられないほど新鮮に感じられる。 一瞬でも気を抜けば、あの手に引き戻されそうな気がして明は走った。 背後から迫る足音は無い。が、怖かった。 目に浮かぶのは、律があの虚ろな目のまま追ってくる姿。 肺が悲鳴を上げるのも構わず、ひたすら家を目指す。 自宅に着いた明は、ほとんど無言で自室にこもった。 妙な雰囲気を察して親が声をかけてくるが無視を決めこむ。 窓の外が気になり、カーテンをきっちりと閉めた。 血の滲む肩がヒリヒリする。 『痛ぅ・・・。一体何なんだよ・・・。』 一息ついた途端、今度は携帯電話が鳴り出した。 『いまはそんな気分じゃないんだよ・・・』 しかし、いつまでもたっても鳴り続ける。相手はたぶん、律だ。 『お願いだから、勘弁してくれ・・・』 明は電源を切って眠った。 律は客間に敷いた布団の上に座り込んだままだった。 明が彼女を押しのけて逃げ出した瞬間から、律は動いていない。 同じ態勢のまま、ただ独り言を呟いていた。 「どうして、どうして、どうして、どうして、どうして・・・」 布団と畳には、彼が倒していった中華粥の残りが染みている。 引っかき続けた畳はそこだけぼろぼろになっていた。 明がなぜあんなに怒ったのか、全く分からない。 『ただ恋人として分かち合いたくてやっただけなのに・・・』 セックスまでしてなぜ明は躊躇したのか。 なぜ自分のことをもっと知ろうとしてくれないのか。 「明はきっと、何か障害を抱えているんだ・・・。」 「私のことを心から好きになれないような。」 もしかしたら、それは女かもしれない。 だとしたら、全て説明がつく。 『明が私を愛しているのは確かだ。でも邪魔があるんだ。』 『きっと明にしつこくする女がいるんだ。そうに違いない。』 律の思考はどんどん飛躍していった。 前向きに、ただ彼との幸せを願いながら。 ※※※※ 投下終了
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152 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 43 39 ID 56PLRE7Q 第三話 3レス消費 明が目を覚ましたのはそれから二時間後のことだった。 窓の外は既に真っ暗だ。 場所は全く知らないどこかの和室。律の家だろうか。 明は布団をごそごそと抜け出した。暖房が効いていて暖かい。 「すいません。」 声を上げてみる。襖の向こうに誰かいる気配は無い。 とは言え、他人の家だ。勝手はできない。 「律さん、いる?」 再び声をかけると、向こうから「すぐ行く」と返事が。 階上から、階段を下りる音が聞こえる。 襖を開けたのはやはり律だった。 「起きたか。喫茶店で突然倒れるなんて驚いたぞ。」 不安そうな顔で腰を下ろす律を見ると、明はなぜか頭痛を感じた。 『そうだ。俺は喫茶店で律と話してて・・・、なんだっけ、何かあった気が。』 「うっっ・・・。ごめん、律さん。俺なんだかよく分かんないけど・・・。」 事情を尋ねようと声を上げた途端になぜか律に遮られる。 「大丈夫だ。店で何かあったわけじゃない。ただ君の体は心配だな。」 すこし強引な律に違和感を感じるが、思考がまとまらない。 「本当に?俺、ちょっと思い出せな・・・。」 「大丈夫だ。言っただろう。それより突然倒れたりして本当に大丈夫なのか?」 「私は明の体調のほうがよっぽど心配なんだが・・・。」 どうやら店のことは話したくないようだ。 思い出せない以上仕方ない、と諦めると明は笑顔で答えた。 「いや、大丈夫だよ。なんだか気分が悪くなったみたいだけど、今は全然。」 そう言うと、律もやっと安心したようだった。 「良かった・・・。」と言いながら顔を綻ばせている。 「大げさだよ。ちょっと気を失ったくらいさ。」 「何を言ってるんだ。大病なのかと本当に心配したんだぞ。」 いつもの凛とした表情でオーバーに言うので、すこし笑ってしまう。 すると、律は困ったような顔で言うのだった。 「私は明の恋人だからな。君のことを心配するのは当たり前だ。」 「うん、ありがとう。心配かけてごめんな。」 まったくだ、という律をみて明は何となく彼女をすこし理解できた気になった。 幸せ、とはこういう気分だろうか。 ※※※※ 153 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 46 17 ID 56PLRE7Q その内、何かを取りに律は部屋を出て行った。 身体が心配だから動くなと明に言いつけ襖をしっかりと閉めていく。 『汚れているのだろうか、気にしないのに・・・』 そして、律の先ほどの可愛らしさと告白の時の迫力を思い出していた。 確かに律の明への態度には異常なくらい変動があるのだ。 好きだから、とかいう理由で説明がつくのか、明には分からなかった。 眠りすぎたからだろうか、さっきから思考がうまくまとまらないのだ。 ぼんやりしていると、律が戻ってきた。持ってきたのは鍋と茶碗。 来たときと同じく、襖をしっかり閉めている。 さっきと同位置に座る律の頬は、なぜか少し赤みくなっていた。 『可愛いなあ』などと思っていると、差し出されるレンゲ。 「中華粥だ。元気が出るぞ。」 そう言って律は二人の前に置いた鍋から粥を茶碗に盛り付ける。 しょうがの、食欲をそそる良い香りがしてきた。 「じゃあ、いただきます。ほら、明も。」 あまりに自然な流れで、明もつられてしまう。 「あ、うん。いただきます。」 口に含むと、ごま油の風味が広がる。 続いて海老のプリッとした食感。海鮮粥だ。 しかし、それだけではない、何か独特のコクがある。 「あ、おいしい。」 「ふふ、そうだろう。私の特製だ。」 律も心底嬉しそうな顔をする。見ているほうも満たされるような笑顔だ。 料理の上手さに脱帽しながら、食べていると明は大事なことに気付いた。 「あ、そうだ家に連絡・・・。」 なぜだろうか、完全に忘れていた。明は慌てたが、律は落ち着いている。 「もう連絡しておいたぞ。寝ている間に携帯を見させてもらった。すまない。」 「いや、俺が助けてもらったんだしいいよ。ありがとう。」 「ふふ。ご家族も心配していたからな。後で電話するといい。」 「うん。」 ※※※※ 154 :ヤンデレ素直クール:2010/02/20(土) 22 55 00 ID 56PLRE7Q 食後、明は律とくつろいでいた。 本当は食後に帰る予定だったのだが、律に引き止められたのだ。 家に電話してみると、なんだか変な声で「泊まってらっしゃい」と言われる始末。 幸い、明日は日曜日。昼のこともあるし、明は泊まっていくことにした。 「話したいことがある」と律は言っていた。 それで二人でソファに座り、テレビを見ている。 律は学校で見た事が無いような、甘えた雰囲気だった。 しなだれかかり、何かせがむような目で時おり明を見つめる。 明の緊張が最高潮に達した頃、律が切り出した。 「なあ、明。君が聞いてたことだが。」 「なんで私が明を好きになったのか知りたがっていたな?」 下から見上げるような視線で尋ねる律の表情に明の顔は熱くなった。 「うん。なんで?」 落ち着いた風を装って答える。 「それはな。この前の始業式の時だ。」 律によると始業式の日の小さな騒動がきっかけだという。 教師がペットボトルジュースを式場で見つけて、明たちのクラスを疑った。 そのとき、誰も出てこないのに痺れを切らした明が名乗り出たのだ。 教師はあからさまに明の告白を疑問視したが、それでも仕方なく明を叱った。 何とそれは律のボトルだったのだという。 式の用意が忙しく、うっかり持ってきてしまったそうだ。 片づけを手伝っていた律はその場におらず、後で事情を聞いた。 普段から素直さや自らの正しさを全うする律は、明の行動に衝撃を受けた。 なぜやってもいない罪をやったと言えるのか。 しかもずっと待たされるのが面倒だという理由だけで。 律は石堂明という人間を不思議に思うと同時に心惹かれた。 「もしかしたら、君の打算の無さに惹かれたのかもしれない。」 「私を捨てた両親は打算しかない人間だったし。私は人間不信なんだ。」 「クラスメート達もそうだ。みんな浅い計算で動いてる。」 「でも、君だけは。君だけは違うと、そう思えたんだ。」 話し終えると律は明にキスをせがんだ。 「明・・・キス、してほしい。」 キスをする間も、律はうわごとのように呟き続けた。 「・・・はぁ、・・・君を、ンム、石堂明を愛したい。」 「生きていて、ンン、はじめて、チュッ・・・なんだ。」 どんどんキスは深くなっていく。 「・・・つっ・・・はぁ・・・抱いて、くれ。明・・・。」 そう言いながら律は明の首筋に甘噛みする。 ぐるぐると回る思考のなかで、明はそんな律を抱き寄せた。 気がつけば二人とも裸になってしまっている。 律が明の全身に噛み付くようなキスをしてくる。首筋から出血。 あまり豊かではない胸をギリギリと押し付けてくる。 全身をこすりつけ、噛みつき、爪をたて、体液をなすりあった。 やがて律が凄絶に身体を震わせて気絶するのを見た直後、明も意識を飛ばした。 ※※※※